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Goods Column, 19


odyssee 2001

odyssee 2001 ad
ついに2001年、21世紀となった。2001年といえば「2001年宇宙の旅」だ(強引)。この有名な映画のプロモーション用に、ひとつの腕時計が作られていたのをご存知だろうか。手がけたのはハミルトン。スタンリー・キューブリックの名指しだったそうだ。1957年に世界初の電気式腕時計「ベンチュラ」を発表したハミルトンには、進歩的で未来的な製品を作りうるというイメージがあったのだろう。やがて完成した時計は、その名も"odyssee 2001"。大ぶりでごついケースは、下から上に徐々に厚みが増していくというユニークな形状。これは手首につけた時に文字盤が傾いて見やすくなることを計算したものだ。見た目のインパクトだけでなく、機能性も兼ね備えているわけだ。と、いくぶん大げさに述べたけれど、個人的にはそんなにたいしたもんではないと思っている(笑)。だいたい、いかにもな雰囲気はあるくせに、ムーブメントは例のエレキではなくオートマチック(それもスイス製)なのだ。おそらくは信頼性をとったのだろうけれど、ここはぜひともトリッキーと酷評されたエレキ・ムーブを使って欲しかった。だってどうせシャレなんだから(笑)。

ところで、ハミルトンは私の大好きな時計ブランドのひとつだ。1892年、アメリカはペンシルバニアで創業。アメリカの他のメーカーが大量生産指向であったのと対照的に、ハミルトンは高品質な製品の少量生産を特徴としていた。そしてちょうど迎えていた大鉄道時代。ハミルトンはその高精度が認められ、鉄道時計のスタンダードとなった。その次の世界大戦時代には、やはり高精度の証としてハミルトン製のマリンクロノメーターがアメリカ海軍に採用される。さらに兵士たちに支給する膨大な数のミリタリー・ウォッチを生産。そのいっぽうで、パイピング・ロックなどのアール・デコ調の華やかなデザインの時計も多く作られ、好評を博した。しかしなんといってもハミルトンの名を世界に知らしめたのは前述のベンチュラ、そして1970年に発表された世界初のLEDデジタル腕時計「パルサー」だ(注1)。いっさいの機械的な可動部品を持たないこのパルサーこそ、実は"odyssee 2001"の名にもっともふさわしいのかもしれない(注2)。


HAMILTON odyssee 2001
さて、本題の"odyssee 2001"だけれど、ちょっと欲しい時計であることは否定できない。ただし、この時計のレアさはただごとではない。時計関連の文献、雑誌にもめったに登場しないし、載ったとしてもいつも「参考商品」だから、相場価格などは見当もつかない(注3)。例えばベンチュラ、パルサーなどであれば、どこかのアンティーク・ウォッチ店にたまに置いてあったりするし、触らせてもらったこともある。ところが"odyssee 2001"とくると、もちろん実物なんてみたことがない。ネット・オークションのeBayでも同様で、私の知る限り今まで出物は皆無であった。...ところが、21世紀をまさに目前にした2000年の12月、ひょっこり出品されていた!このときの私のショックの程はご想像にお任せする(笑)。それは、完動品で、もしかするとバンドはノンオリジナル?と思えたけれど、全体的にコンディションはまあまあという感じだった(右の画像参照)。オークションの行方をずっと注目し、あけて2001年1月についにクローズ。気になる落札価格はというと、900ドルの前半であった。これは果たして安いのか、高いのか。とにかく今の私に気軽に買える額でないのだけはたしかだった。いつか買える日はくるのだろうか。それまで私のこの時計探しのオデッセイは終わらない。[2001/1/15]

※追伸
このコラムを書いているさなかに、なんと別の"odyssee 2001"がeBayに出品されていた。やはり今が旬ということで手放そうと考える方が多いのであろうか。

注1: 皮肉なことに、ベンチュラとパルサーの2大プロジェクトの多額の開発費のために、ハミルトン社の経営は悪化した。そして1974年、ついにハミルトンはスイスSSIH(後のSMH、現在のスウォッチ・グループ)に買収され、アメリカでの生産を終えた。
注2: 映画「2001年宇宙の旅」の公開が1968年だから、あと少しのところでパルサーは間に合わなかったわけだ。
注3: ちなみにベンチュラのオリジナルモデルの日本での相場は、まず20万円はくだらない。パルサーは種類にもよるけれど、安くて5万円くらいからというところか。

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